脳科学者の池谷裕二さんは著書の中で指先の運動は脳を活性化させるということを下記のように述べています。
バイオリニストやピアニストは指を動かす脳領域が普通の人に比べて広いのですが、これは生まれつき演奏家の脳領域が普通の人に比べて広いのではなく、演奏や練習を続けたことで脳領域が広くなったと考えられます。つまり指を動かすことで、指を動かす脳領域が活性化されたわけです。
ヒトが進化した大きな要素は「手が使えること」。精巧な指の動きが脳を発達させたと言われています。すばらしい陶芸や絵画など手の精密な動きが人の心を魅了する作品を生み出します。スポーツの世界でも、例えばバレーボールのセッターのトスの繊細なコントロールは最終的には指で生み出します。昔は編み物など、頭で想像しながら指先を細かく使っていたと思います。それは脳にとてもよいことだったんですね。しかし、パソコンのキーボードは同じ作業の繰り返しでただ疲労を増大させるだけになってしまいます。いろいろな動きで使うことは身体を活性化させるけれど、ただ同じ作業の単調なルーティーンは疲労させる。なかなか難しいですね。